第32回全国公害被害者総行動デー
集会アピール


 国民のみなさん
 「なくせ公害・守ろう地球環境」を合い言葉に,被害者の救済と公害の根絶,そして環境再生とまちづくりを求める全国公害被害者総行動は,今年で第32回を迎えました。
 国民のみなさん
 公式確認から50年以上も経過した水俣病では,国が最高裁判決に従って認定基準を見直さないため,1270名もの大量原告によるノーモア・ミナマタ訴訟が闘われています。過去に,何度も謝罪して責任を認めた加害企業チッソは,時効を主張して責任逃れを図っています。また,発症から30年以上も経ったカネミ油症事件でも,世代を越えた被害者が,未だに深刻な被害に苦しんでおり,政府による仮執行金の返還免除による救済立法により前進が見られますが,未認定患者の存在など,未だ救済は不十分です。日弁連より立法措置を含めた被害者救済制度の確立を求める勧告が出されているように,被害の完全救済が求められています。薬害では,5年前に勝利和解が成立したヤコブ訴訟では,いま,なお被害者の掘り起こしと和解による救済が続いています。肺ガン治療薬の副作用で706人の生命が奪われたイレッサ訴訟では,国や製薬会社の責任を認めさせる闘いが行われています。
 まずは,公害被害者の完全救済を実施させることが我々の運動の原点です。
 国民のみなさん
 東京大気汚染公害裁判では,昨年9月28日の東京高裁による解決勧告を受けて,和解が進み,東京都提案の医療費救済の財源負担にメーカーが応じ,国も60億円の拠出を決断し,公害防止対策の協議も進んでいます。が,残された最大の論点であるメーカーの一時金支払いをめぐって,緊迫したたたかいが展開されています。
 尼崎・川崎・西淀川・名古屋の大気汚染裁判では,国和解で制度化された「道路連絡会」の場を使って,ロードプライシング等による総量規制対策の実現を目指す取り組みが行われています。
 「産業の無公害化」や「汚染土壌復元」がほぼ完了間近となったイタイイタイ病の取組みを一つの手本として,国,自治体,企業と粘り強く協議しながら,「被害救済」とともに「公害の根絶」と「環境再生」の闘いを進めましょう。
 国民のみなさん
 トンネル工事による環境破壊がいよいよ高尾山本体に迫っている高尾山天狗裁判では,圏央道の工事差止めを目指す一審判決が10日後に迫っています。
 よみがえれ!有明海訴訟では,無駄な公共工事の典型である諌早湾干拓事業によって作られる農地の買い手がなく,長崎県が公金を違法に支出しようとしています。公金差止住民訴訟を提起してこの違法支出を差止め,事業完成を阻止し,有明海を「死の海」から「宝の海」によみがえらせる闘いが進められています。
 基地公害訴訟では,着実な前進を見せているものの,米軍自衛隊の再編,民間空港との共用など,騒音を増大させ,一層危険な基地にする政策が実行されています。
 国民のみなさん
 「戦争こそ最大の人権侵害・環境破壊」−−−日本を再び戦争する国にさせてはなりません。
 「平和と公害の根絶を求めて」−−−私たちが長年に渡って公害総行動のメインスローガンに掲げてきた,この基本要求への挑戦をはね返して,環境と平和を守る運動に,多くの国民のみなさんが参加して,壮大な国民的運動として発展させていくことを訴え,アピールとします。

2007年6月4日
第32回全国公害被害者総行動デー・総決起集会


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