自衛隊のイラク派遣・駐留に反対し,即時撤兵を求める決議

 2003年3月20日,米国ブッシュ政権は,英国とともにイラクに対する軍事攻撃を開始した。大量のミサイルと爆弾,とりわけクラスター爆弾・劣化ウラン弾などの残虐兵器も大量に投下され,イラクの国土は破壊され,多数の市民・兵士が犠牲となった。米英の圧倒的な軍事力による先制攻撃によってフセイン政権は崩壊したが,その後も軍事占領と治安維持のための軍事行動が展開されており,これに対するイラク国民の反発も強まっている。
 一方,米英のイラク攻撃にいち早く支持を表明した小泉内閣は,昨年(2003年)の通常国会で有事三法とイラク派兵法を強行成立させたうえ,本年(2004年)早々,イラクに対する陸海空自衛隊の派遣を強行した。
 しかしブッシュ政権がイラク戦争の最大の根拠とした大量破壊兵器を見つけ出すためイラクに派遣され捜索にあたってきた米イラク調査グループのデビット・ケイ前団長・前米CIA特別顧問は,米上院公聴会で,開戦前にイラクには大量破壊兵器がなかったことを証言した。これにより,ブッシュ政権のイラク戦争の大義は大きく揺らぎ,同政権の主張をうのみにして米国のイラク侵略戦争を支持し,自衛隊派遣を強行した小泉内閣の責任が厳しく問われるところとなっている。
 今回のイラクヘの自衛隊派遣は,現に戦闘が行われている外国領土に,戦後初めて自衛隊を派遣するもので,日本国憲法を真正面から踏みにじる暴挙であり,アメリカの一国覇権主義に反対し,国連憲章にもとづく世界の平和秩序を求める諸国民の願いに根本から背くものであり,断じて許す訳にはいかない。
 公害根絶と環境保全のためにたたかってきた私たちとしては,最大の環境破壊である戦争に加担する自衛隊のイラク派遣・駐留に断固反対し,イラクからの即時撤兵を強く求めるものである。
2004年3月21日
第33回全国公害弁護団連絡会議総会



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