B型肝炎訴訟札幌高等裁判所民事第2部判決
声    明

肝炎訴訟原告団
肝炎訴訟弁護団
肝炎訴訟を支える会

 本日,札幌高等裁判所第2民事部は,B型肝炎訴訟について,訴訟人3人について請求を認容したうえ,残る2名について控訴を棄却した。棄却の理由は最後の予防接種から20年を経過していいるため,除斥期間が経過しているというものであって,集団予防接種との因果関係及び国の責任は全面的に認めたものである。
 本判決は,集団予防接種における肝炎ウイルス感染について国の責任を認めた初めての判決である。不可知論に陥ることなく,事実と道理に照らして正義を貫いた裁判所に深く敬意を表する。この判決は全国のウイルス性肝炎患者の救済に大きく道を開く画期的な判決であり,全国の肝炎患者,キャリア,家族が長年待ち望んでいた判決に他ならない。
 原審判決においても,集団予防接種がB型肝炎ウイルスの主要な感染原因であるとの判断がなされていたにもかかわらず,国はこれまで患者救済のための対策を何ら取ってこなかった。平成12年11月に国が設置した「肝炎対策に関する有識者会議」の報告においては,肝炎ウイルスの感染原因として「集団予防接種による注射針・筒の連続使用」については一言も言及されなかった。国はあえて集団予防接種が感染原因であるという事実を覆い隠してきたのである。
 本日の判決によって,このような国の対応は厳しく断罪された。
 国は,本判決に対して上告せず,過去の集団予防接種において多数の国民に肝炎ウイルスを蔓延させた責任を認め,全国のウイルス性肝炎患者に謝罪するとともに,直ちに全肝炎患者救済の対策を取るべきである。

2004年1月16日