イタイイタイ病とカドミウム汚染のたたかい
イタイイタイ病弁護団


第1 イタイイタイ病認定・要観判定問題

1 患者・要観の現状(2003年12月末現在)

(1)認定患者総数187名うち生存者数4名
 新規認定者1名  
(2)要観判定総数334名うち生存者数3名
 新規判定者0名  

2 2003年認判定の状況(同年12月末現在)
(1) 2003年は以下のとおり3回の認定審査会が開かれ,8名の申請者に対し,患者認定1名,却下(認定不相当)6名,保留1名であった。新たな要観判定はなく,認定却下のうちの2名が要観継続となった。なお,認定却下のうち,目下のところ2名が国が設置する公害健康被害補償不服審査会に審査請求の申立中である。
(2) 第1回認定審査会(2003.3.21)
 申請者6名に対し,婦中町の女性(大正5年生,平成15.3死亡)1名が患者認定され,1名が却下(認定不相当),4名が保留継続となった。
(3) 第2回認定審査会(2003.6.15)
 上記保留継続のうちの3名と却下に対し異議申立した1名および2002年12月新たに申請した1名の計5名について審査が行われ,患者認定はなく,却下(認定不相当)2名,異議却下1名,保留1名であった。なお,2002年12月に申請した1名は要観継続となった。
(4) 第3回認定審査会(2003.9.14)
 上記却下に対し異議申立した2名と2003年4月に新たに申請した1名(要観)および第1回の際継続となっていた1名(その後2003年4月に死亡)の計4名に対し審査が行われ,却下2名(内1名要観継続)異議却下2名であった。
3 審査請求の申立
 上記のとおりイ病認定行政は却下が相次ぎ,患者救済の立場とは程遠いものとなっている。骨軟化症を示す剖検資料や骨改変層を示すX線所見があるにもかかわらずこれを無視ないし軽視して却下とするやり方は認定行政の著しい後退である。そこで,認定却下6名のうち死亡者2名(剖倹1名)について,上記のとおり不服審査請求を申立てまた死亡者1名について(剖検1名)申立て予定である。今後来年にかけて,再び被害団体一丸となった審査請求の闘いが重要である。
4 認定審査会資料の情報公開請求
 2001年10月,要観判定等の不適正さを明らかにする目的で,認定審査会の議事録その他医学的資料の情報公開請求を行った。これに対し県は形式的書式等の一部開示決定をしたが,極めて不十分であったため異議申立を行っていたところ,県情報公開審査会は2003年7月9日,医師の氏名や所見内容は非公開としたが,健康診断の数値など認定申請者本人に関する情報については公開を認める答申を出した。未だ不十分な点はあるが,認定審査資料の一部開示は注目されるところであり,今後要観判定等の適切さについて一部検証が可能となり,その改善が期待されるところである。

第2 神通川流域住民健康調査

1 はじめに
 本年7月6日,厚生部健康課は神通川流域住民健康調査検討会が行った解析と検討の結果の概要について広報した。その後10月には報告書が発行された。この検討会の報告には多くの問題があったため,被害住民は説明の機会を持つよう申し入れ,11月12日に説明会がもたれた。しかし,検討会のまとめ方にはカドミウムによる腎臓への悪影響を軽く見せようとする意図が明らかであり極めて不公正なものであることから,後記のとおり県知事に対して申し入れを行った。以下経過を報告する。
2 住民健康調査の概要
 富山県では神通川流域の健康管理を推進することを目的として(当初は患者発見のためだった…県)1967年から「神通川流域住民健康調査」を実施しており,1979年から1984年度には環境庁が県に委託して実施し(第一次),以後毎5年間づつ行い,1997年からは新方式を取り入れて行っている。
3 調査結果のとりまとめ,解析・検討結果
 環境庁は1989年に1979年〜1984年に行われた調査結果のとりまとめを中間報告として公表し,その後1997年7月にも中間報告を発表し,2002年3月には1985年〜1996年の調査結果を解析・評価した結果を報告した。今回の県の報告は1985年〜1996年の富山県単独実施分のとりまとめの解析・検討と1979年〜1984年度に環境庁が実施した住民健康調査の受診者の検査値変化の検討について公表したものである。
 1989年の中間とりまとめでは,ある程度のカドミ暴露で近位尿細管障害は生じるがその可逆性,予後は明らかではないとされた。
 1997年中間報告でもカドミウムによる腎臓障害の可逆性・予後については不明の点が多く,今後の検討課題であるとされており,ただちに健康被害と見ることは出来ないとされている。
 2002年の報告は「調査の対象者では,近位尿細管機能の指標である尿中β2=MGが観察期間中に上昇していること等か観察されたが,対象者の特性(過去の検診で陽性であったものが多い)や加齢などの関与が大きいことから,カドミウム暴露による近位尿細管機能や腎機能への影響などについて必ずしも明らかになったとはいえない」とし「今後調査の継続,保健指導等の住民の健康管理に役立てるとともに,カドミウムによる影響の解明に資する知見の集積を図る」とした。
 今回の検討会報告の概要発表(2003年7月6日)と報告書の公表(同年10月ころ配布)では,まとめとして,
(1) 1985年〜1996年県単分7926人のデータから
  1.  初診時β2=MGは,比較的若年層では低値,高齢層では高値の傾向を示した。
  2.  尿中β2=MG高値に影響を及ぼす要因としては年齢の他,指定地域の居住年数,農業従事年数があった。
(2) 1979年〜1984年調査の異常者282人の平均9.7年間の経過観察から
  1.  腎機能が概ね正常であったものでは,尿中β2=MGの変化は骨代謝と直接関連していない。
  2.  腎機能の低下所見がみられたものでは,尿中β2=MGの変化は骨代謝と関連せず,血清リンの低下を介して骨代謝に変化を来すことが示唆された。
 とされ,今後の課題として,
  •  1997年7月環境庁発表に記載されている生活上の留意事項,保健指導,生活指導を引き続き実施していくことが汚染値地域住民の健康管理にとって重要である。
  •  1997年以降の住民健康調査結果をとりまとめ,カドミウム汚染地域にみられる健康影響を解明していく必要があるとされた。
 なお,より具体的な概要項目の説明の部分では,
  •  上記4.の集団では,約9.7年の間に,血清クレアチニンには平均0.2mg/dlの上昇が認められたが,最終受診時の血清クレアチニン値の平均値は,慢性腎不全の始まりと診断される2.0mg/dl以下であったと。
  •  今後の課題として指定地域住民の健康調査結果の理解を深めるためには,カドミウム曝露を受けていない集団との比較検討を行うことが望ましいとしている。
4 評価
(1) 総論
 今回の富山県分の解析・検討は2002年に行なわれた環境庁の報告に比べると若干改善されている点が認められる。これは昨年被害者団体が発表後に環境省に対して報告書の説明会の開催を求め,8月20日に実現させ,環境省に厳しい質問,指摘を行い,いい加減な報告は許されないという認識を持たせた成果がああると考えられるが,本年11月12日に行った富山県の説明会後住民側がさらに県側に解明,改善の要求を申し入れた申入書に指摘した問題点が残っている。以下具体的に指摘する。
(2) 2002年環境省報告書の問題点
 環境省の発表では頭書に指摘したとおりカドミウムによる腎臓への悪影響を軽く見せようとする意図は露骨であった。
ア すなわち,本来カドミウム汚染地域住民を対象とした調査であるから,カドミウムによって腎臓が障害されている人のデータであるのに,「調査の対象者では,…β2=MGが期間中に上昇していること等が観察されたが,対象者の特性(過去の検診で陽性であった者が多い)や加齢などの関与が大きいことから,カドミウム曝露による近位尿細管機能や腎機能への影響などについて必ずしも明らかになったとはいえない」などとまとめたことが如実に示している。
イ その他,β2=MGが長い観察期間に上昇することが観察されることを認めながら,加齢の影響が示唆されることや,集団特性による偏りなどにより近位尿細管機能の経時的変化についての判断は困難であったとしている。この集団特性の偏りとは調査の対象者に1979年〜1984年検診での二次,三次検診受診者,すなわち近位尿細管機能の指標が高かった者が多く含まれている,という本末転倒の解析を行っている。
ウ また,血清クレアチニン値は長い観察期間により上昇する,血清クレアチニンが増悪する群では調査初期からβ2=MG高値が観察された,としていながら,血清クレアチニン増加群では腎機能も低かった+腎機能低下が加齢の影響であることを否定できない等から近位尿細管機能異常が腎機能に与える影響の判断は困難であった,などと,あたかも加齢の影響で被験者の異常をすべて説明できるかのような偏った判断を示している。
エ さらに,検査値の違いによってQOL(一般的な健康状況)に差があり,有意な関連も観察されることを認めながら,「関連の強固性等観点から,意義のあるものとして取り扱うかどうかは難しい」などと,意味不明のことまで言い出している。
(3) 今回のまとめの評価
 今回のまとめは,報告書の結論要旨の部分は統計学的な言葉が多く理解しにくいものとなっている。それだけではなく本来統計値の評価なので,「関係が認められる」,「認められない」と表現すべきなのに,あたかも論理的・事実的な関係であるかのような「直接関連している」,「関連せず」などと不適切な表現がとられており,全体的には素直にカドミウムの腎臓に対する影響を積極的に認めることに抵抗している様子がある。
 これに対して県厚生部がまとめた部分では,腎臓障害と骨障害との関係を認める等若干分析結果を正当に評価した部分もみられる。
 また,昨年の環境省報告の上記アの点については,「尿中β2=MG高値に影響を及ぼす要因としては,年齢のほかに指定地域の居住年数,農業従事年数があった」として,カドミウムの摂取量を反映する項目との関連性を指摘している。住民に対する説明会では,この「居住年数,農業従事年数」は「年齢」とは別にそれぞれ関係が認められるとも説明しており,単に経年による加齢の影響という環境省の報告とはひと味,ふた味違うものとなっている。
 また,「腎機能低下の所見が見られた者では,尿中β2=MGの変化は骨代謝と関連せず,血清リンの低下を介して骨代謝に変化を来すことが示唆された」としたことは,実質上腎性の骨変化を認めた意義がある。
 さらに,「最終受診時の血清クレアチニン値の平均値は,慢性腎不全の始まりと診断される」としたことは,たんなる生活上の留意,保健指導,生活指導では足らない対策を取る必要があることを示している。

第3 第22回イタイイタイ病セミナー

 2003年11月8日,富山県民会館において,イタイイタイ病セミナーが開催された。
 このセミナーは,被害地域住民がイタイイタイ病に関する先端的研究の成果と現状を知り,患者救済,汚染土壌復元,カドミウム(以下「Cd」)発生源対策などの運動を広げる目的で,81年から毎年開催され,今回で22回目となる。
 今年は,被害地域住民,学者,イタイイタイ病弁護団所属弁護士など,約130名が参加した。イタイイタイ病対策協議会高木会長の開会挨拶,富山県厚生部健康課奥田課長の来賓挨拶に続き,加須屋富山医科薬科大学名誉教授が今回のイ病セミナーの位置づけを概説した後,富山医科薬科大学医学部公衆衛生学青島恵子教授と,国立環境研究所環境健康研究領域遠山千春氏の講演が行われた。

青島氏の演題:神通川流域住民のCd曝露と腎障害−現状とこれから−
遠山氏の演題:食品中カドミウムの安全基準に関する最近の話題

 今回のイタイイタイ病セミナーでは,イタイイタイ病が今もなお存在する公害病であり,今後も継続して健康調査・管理が必要であること,及び,被害地域以外の住民の詳細な調査を早急に行った上で,被害地域住民との比較研究をすることが重要であることが確認された。

第4 汚染農地復元

1 汚染農地復元概要

地域指定面積1,500.6ha 
第1次面積91.2ha(終了)   
第2次面積441.5ha(終了)    
第3次面積436.9ha(継続中)  
※1,500.6haのうち,復元対象地が969.6ha,復元除外地が531haとなっている。

2   市街化区域内の汚染農地の復元問題が直面する課題となっている。県と婦中町のワーキンググループが,婦中町の市街化区域で一筆ごとの現地調査を実施している。その結果を踏まえて,さらに積極的な対策が立てられるように県に対し強く動きかける必要がある。一日も早く市街化区域内のカドミウム汚染問題を解決し,汚染米が生産されないようにしなければならない。
3  第3次復元事業概要

事業費単位千円
項目総量平成14年度まで平成15年度合計
事業費2539100016578
整地408.8ha317.2ha20.1ha337.3ha82.51%
客土396.3ha307.9ha14.2ha322.1ha81.28%
※ 平成16年度以降の復元予定地は42.2haとなっている

4 2期工事(3号地)の概要

事業費単位千円
項目総量平成14年度まで平成15年度合計
事業費59120001399
整地93.9ha37.7ha1.2ha38.9ha41.43%
客土93.9ha37.7ha1.2ha38.9ha41.43%
※ 平成16年度以降の2期工事予定地は55.0haとなっている


第5 発生源対策

1 はじめに
 今年は,神岡鉱業が採掘を全面停止して2年目となるが,被害住民は,第32回全体立入調査を8月3日に実施した事をはじめ,専門委員も補充して精力的に発生源対策に取り組んだ。住民と会社は,神通川を自然界値へ戻すことを共通の目標としているが,従来の共通理解であった自然界値を,0.1ppbからより厳密な0.05ppb〜0.06ppbに引き下げて,さらに引き続き改善に取り組む必要がある。なお,富山県による神通川水質の測定はNDが多く水質管理として不十分であったが,これを公表に踏み切らせたことは運動の大きな成果である。
2 全体
(1) 鹿間工場では,ゼロ・エミッションを目指す「鉛リサイクル工場環境方針」を2002年11月に定め,ISO14001を2003年6月に取得した。神岡鉱業全社として2005年度中にISO14001の認証を取得する目標と聞くので,それを実行させる。
(2) PRTR法が2001年4月から施行されたが,これに基づき岐阜県に提出されたデータによると,カドミ以外にも多くの重金属が示されている。会社は,内部で排出削減目標を作るとしているので,被害住民もこれを実現するようにフォローしていく。
(3) 地震・台風・事故などの非常時に対し,危機管理マニュアルを作成させ,鉱山全体に対する危機管理を徹底させる必要がある。
3 鹿間工場関係
(1) 8排水口の濃度・負荷量は,排水量が微増したが,濃度はわずかに(2%)改善された。また,8排水口負荷の56%を占める鹿間総合排水の濃度・負荷量もわずかに改善された。
(2) 鹿間総合排水の対策として,−370m坑内清水の清濁分離,鹿間谷第3ポンドの水質改善,18mシックナー新設による30mシックナーの負荷軽減対策が実施された。しかし,鹿間谷第3ポンドの水質は降雨等による増水時に悪化しており,流入濁水の削減対策が重要である。
4 六郎工場関係
(1) 六郎工場の急速濾過装置出口は,2001年1.1ppb,2002年3ppb,2003年8.6ppb(会社側1.2ppb)と2002年に処理能力の低下が起こった。亜鉛電解工場水は,2001年の1.3ppb,2002年の2.4ppbと悪化したが,2003年5月には0.4ppbと改善された。
(2) 山腹トンネルは,清濁分離基準2ppbの1ppbへの見直し(2003年5月清水0.6ppb)や濁水ピットの増設(2003年5月濁水150ppb)により改善された。
5 北電水路関係
(1) 六郎工場地下にある汚染水の積極的な抜き出し対策として,山腹トンネルからの水平ボーリング(50m)が2002年9月20日までに実施され,また,2003年4月に六郎開渠付近で5本のボーリングが実施されて,K−8が高濃度の地下水脈に当たった。2003年4月から揚水処理も実施されており,2003年5月にはカドミ濃度が52ppmと非常に高かった。今後は,山腹トンネルから旧電解工場地下への揚水トンネル開削を検討させる必要がある。
(2) 湧水回収による2002年のカドミウム回収量は,これまでの減少傾向に反しやや増加している。
(3) 2003年5月の北電水路牧水槽は0.07ppbであり,北電水路殿用水の0.02ppbと比べると,0.05ppbの北電水路負荷であり,水量約30‰/秒としても0.065kg/月とわずかである。湧水回収工事の効果と考えられる。
6 排煙関係
(1) 排煙からのカドミ排出量を低減させるために,煙灰からのカドミ抽出率の向上と鉛銀残渣からのカドミ濃度の一層の削減を求めていく。
(2) ストック煙灰(300トン)の処理が必要であるが,濃度の高いところでは3000ppmのところもあり,今後は,シミユレーションを提出させて処理を検討していく必要がある。
(3) 会社が環境方針を打ち出したので,これに対し具体的な対策を提言していく。
7 坑内水関係
(1) 栃洞坑下部清水系統は,調査と改善が実施されたため-370m清水が1ppbレベルとなり,上部清水系統0m清水は,1昨年悪化したがその後に改善された。さらに清濁分離を徹底する必要がある。
(2) 増谷堆積場水の主たる負荷源である茂住-320m清水は,2001年坑内調査により汚染源が判明したので,清水系への濁水流入を排除した結果水質が改善したが,今年再び水質が悪化した。
(3) 2001年6月に亜鉛・鉛の採掘を中止したため,栃洞−430m濁水は,水量は変わらないが水質が低下し,カドミ負荷量が1/2〜1/5に減少した。しかし,栃洞0m濁水は52ppbと高く,0m坑内の沈砂池設置を検討させる。
(4) 閉山後,どの範囲の坑道を維持・管理していくのかを明らかにさせていく必要がある。
8 堆積場関係
(1) 増谷・和佐保・鹿間谷堆積場の安定解析報告書について,安定計算結果(地震時最小安全率)は,和佐保1.49〜1.63,鹿間谷1.82,増谷1.49とする。しかし,十勝沖地震では,地震動や地下の液状化により横方向に崩れる「側方流動」が原因で十勝川河口の堤防が損壊しているので,今後注意する必要がある。
(2) 和佐保堆積場水は1ppbレベルで安定しており,尺八水も2002年には変色・悪化したが,その後1ppbレベルに改善した。
(3) 非常排水トンネルの進捗率は,2003年8月時点で和佐保が100%だが,増谷は岩盤状態が悪く20%に止まっている。
9 休廃坑・植栽関係
(1) 和佐保川の負荷量は308g/月と,休廃坑負荷量の約29%を占め最大である。大留川の水質改善策として,「大留川上流の清水をすべてバイパスさせる工事」は2002年に供用されたが,濁水対策は未実施であり,「濁水を0m坑内沈砂池で処理する計画」の実施をフォローしていく。
(2) 鹿間谷川の負荷量は302g/月と,休廃坑負荷量の約29%を占め,和佐保川に次ぐ。2003年5月の調査では,鹿間谷川2.3ppbと前年より少し悪化した。
(3) 増水時に鹿間谷上部・菅沢・北盛谷・大留川のカドミウム濃度が,数十ppm・亜鉛が数ppmと大幅に上昇している。特に大留川では,砕石場上流の0.06ppbが,砕石場下流で27ppbに急上昇しており,今後の対策が必要である。
(4) 銅平地区においては,これまでの植栽実験の成果を踏まえて,本年は「緑化事業化」に向け,ゾーンごとの導入手法を位置づけるためのゾーニングをおこなった。来年は,詳細な検討のもとに事業化を図っていく。
10 神通川関係
(1) 非汚染の神通川のカドミウム濃度は,0.06ppb程度であると会社側も認めており,1999年〜2002年の牛ヵ首用水は0.08ppbだったので,さらなる低下を目指す。
(2) 2002年9月〜10月,2003年4月など増水時の牛ヶ首用水では,SS状カドミウムが40%〜60%を占めてカドミウム濃度が上昇するので,増水時のSS流出防止対策が重要となる。
(3) 2002年の神通川ダム底質のカドミ濃度は,浅井田・打保ダムが0.2ppm前後,新猪谷・神1・神2・神3ダムが1ppm前後に収束し,改善されてきた。