ア 東京大気汚染公害のたたかいの前進のために 大気汚染が依然として深刻な状況のもとで,東京大気汚染公害裁判の勝利をめざす活動は,最重点課題と位置づけている。東京大気裁判の課題を遂行するために,清水事務局次長を実行委員会の一員として派遣し,専従的な仕事に従事してもらっている。
イ ムダな公共事業を見直し,環境保全を達成する活動
昨年度の活動の大きな基準は,川辺川利水訴訟の勝利,「よみがえれ!有明海訴訟」の勝利のために公害・地球懇として全力投球することであった。
前述した川辺川利水訴訟については,判決前段の取り組みから,判決当日の行動も含めて重要課題として取り組んだ。
また,昨年は2回にわたり現地調査(エコ・ツアー)を企画,成功させ,川辺川とともに有明海(諫早湾干拓事業差止め)問題を東京での重要課題として位置づけ,その運動を発展させるために有志とともに事務局を編成し,本年3月下旬にも予定されている諫早湾干拓堤防の工事差止めの仮処分の勝利を目指して東京・首都圏での運動作りに邁進している。
川辺川訴訟での勝訴と上告断念に引き続いて,有明海訴訟の勝利をめざす運動は公害・地球懇の重要な課題であると位置づけている。
ウ 東京に本拠地をおく公害・地球懇としては,高尾山にトンネルを掘らせない運動,あきる野市牛沼地区での圏央道建設反対の活動,新横田基地騒音公害反対のたたかいなどをとりわけ重視し,協力・共同のたたかいを推進してきた。
この運動のなかでの重要な動きは,03年10月3日にあきる野市牛沼地区に予定されていた土地収用の取消しを求めていた住民の要求を認め,土地収用決定の執行停止の決定を勝ち取ったことである。この決定は昨年末の東京高裁決定で取り消されたが,道路公害反対の住民運動では高く評価されている。
高尾山天狗裁判の進行にもかかわらず,いま裏高尾では土地収用の審査が続いており,権力側の無法な進行が懸念されているが,環境を保全し,住民の要求を達成するために,公害・地球懇としては全力を尽くしたい。
エ 公害・地球懇としては,各地の住民運動に呼応しながら活動を大きく広げていきたいと念願しており,そういった活動方針は各地の住民運動に支持されていることを実感している。
こういった活動を精力的に取り組むなかで,公害・地球懇としての独自活動にも精力をそそいできた。
たとえば,一般市民を対象とした公害や環境問題での「連続市民講座」を開催し,広く環境問題での普及活動を行ってきたし,現地調査活動(エコツア−)を昨年度は2回成功させるなどの活動を行ってきた。
(3) こうして,公害・地球懇としての活動を昨年度も一所懸命に強化してきたが,いくつかの反省点もふくめて今後の活動や組織強化・財政強化などの課題を残していることを率直に認めたい。
公害・地球懇の活動に対する積極的な評価もいただいていることであるし,各地の公害・環境運動の取り組みの接着剤としての役割を果たしながら,公害・地球懇としての独自の活動と,協力・共同の活動を精力的に進めていきたいと念願している。
公害・地球懇としては,各地での公害反対運動,環境保全運動と常に手をとりあいながら活動強化をめざして今年度も一層の飛躍をめざしたいと考えているので,各方面からの協力をお願いしたい。とりわけ,組織強化の一貫として,今年度は会員拡大運動を強化したいので,公害弁連加盟の各弁護士のご協力をお願いしたいと思っている。