高架下・移転跡地については社員の巡回,適切な除草などで良好な状況の維持に努める。当社は移転跡地を環境空地の位置づけで今後とも保有していく。名古屋市から有効利用について計画が示されれば積極的に協力していく。
5 南方貨物線の撤去処分問題について
原告住民の居住地域7kmのうち,2.4kmにわたり,新幹線に並行して南方貨物線(南貨)が存在している。
2001年8月,中部運輸局は南貨の鉄道利用を断念し,撤去費総額300億円を前提に2002年度の撤去費用46億円を予算要求した。また,南貨の処分を業務とする鉄道公団(現在,鉄道・運輸機構)の国鉄清算事業本部が,2002年1月の原告団・弁護団(当方)との協議において,随意契約部分を除き高架構造物を撤去したうえで土地を売却すると説明したが,同年9月段階において,突如,高架構造物付の処分を基本とすると方針を変えてきた。
このため,当方と国鉄清算事業本部は対立状態となり,南貨処分が進まない状況にあったところ,昨年11月19日,国鉄清算事業本部は,並行区間の何か所分について新たな提案をしてきた。その内容は,当方が最初から絶対に高架構造物を撤去すべきであると要求していた南区明治小学校に沿った個所での構造物撤去をはじめ,一部の構造物撤去を行うというものであった。当方は,この処分方針はこれまでの国鉄清算事業本部の方針と比べれば一歩前進であるとして協議を再開することになった。12月24日に行われた協議のなかで,当方は,先に国鉄清算事業本部が提示した撤去個所に加え,4個所の撤去を要求した。
南貨は当初24時間走行が予定されていた貨物専用線である。これを廃線に追い込んだことは周辺住民の生活環境保全にプラスであるが,跡地をどう処分するかが重大な課題である。困難な問題をいくつかかかえているが,名古屋市もまきこんで,少しでも環境保全に資する方向で努力したいと思う。
第3 おわりに
昨年は東海道新幹線の全列車の最高時速270km運行,そして鉄道・運輸機構国鉄清算事業本部の南貨の処分問題など,原告団・弁護団はその対応に真正面から立ち向かった。
今年は裁判提訴から30年を迎えるが,まだまだ和解内容の完全実現に向けての活動の手をゆるめることはできない。