(1) 連絡会は、被害者の訴えに始まり、国・公団から配布された「大阪市西淀川区における環境対策」「大阪市西淀川区の大気環境状況」の説明が行われた。この説明は、従来と同じく型どおりのものであり、大型車対策についての抜本的な対策に触れることも無く、特に新しいものは無かった。
(2) 国・公団のこれに対する回答書は一応事前に送られたが、4頁にすぎず、内容も以下のとおり極めて無責任なものであった。
イについて
今年度行うという課題解決型社会実験については、「現時点では具体的に決まっていません。」という回答であり、アウトラインすら教えないという不当な対応であった。
ウについて
平成16年2月の環境ロードプライシングについては「国道43号線等沿道の環境改善については明確な効果がみられませんでした。」という回答であり、効果が無かったとすれば、どうすれば効果があるようにするかを検討するのが当然であり、あたかも他人事のような無責任な回答であった。
エについて
大型車削減についての西淀川における調査については、尼崎の調査に「必要な調査範囲として『神戸市中央区から大阪市港区まで(JR以南)』とすることを考えているところです。」というように、尼崎調査の客体としか捉えておらず、西淀川独自の問題として調査するという方針を述べてもいなかった。
オについて
歌島橋交差点の横断歩道等の問題については、「平成14年4月25日に連合町会長会との間で意見交換会を行ったところ、本件横断歩道を撤去することにご理解が得られたものと認識しております。」というように
前回の連絡会で、今後住民合意を行っていくと言っていたにもかかわらず、その言葉をくつがえしてその合意はすでに以前に終了していたという不当な回答であった。しかも、理解が得られたというのは事実に反している。
(3) 討議の中心は全国の共通課題である大型車対策と、西淀川独自の課題である歌島橋交差点問題であった。大型車対策については、西淀川での大気汚染が改善されないままになっているのに、国・公団が抜本的な対策をとっていないことへの、原告団・弁護団からの抗議から始まり、国道43号線の大型車夜間通行禁止などの思い切った対策をとるように迫った。これに対して、国・公団は、「道路管理者としては」という従来から言い古された弁解を行ったが、国土交通省が大阪府道路環境対策連絡会議の中でも公安委員会に対して交通規制について、具体的な提案をしていないことも明らかになった。また、未だ具体化されていないという課題解決型社会実験について、大型車削減や抜本的な環境ロードプライシングをその内容に入れるように強く要求し、3ヶ月を目途としてより具体化したものをもって意見交換の機会を作るように強く要求し、国・公団も前向きに受け止めることを約束した。なお、大型車対策のための総合調査については、前回の連絡会で西淀川でも尼崎と同様に行うことについて、国・公団が同意していたが、今回の回答では、その点があいまいになっているので、改めて西淀川独自の調査の実施の確認を求めた。
歌島橋交差点問題については、すでに平成14年に連合町会長会との間で意見交換を行い、横断歩道の撤去について理解を得ているという回答に対して事実に反しているとの抗議を行い、撤回させると共に3ヶ月を目途にして住民合意をどうするかについて意見交換の機会を作ることとなった。
3 今後の課題
現在、道路公害を無くすための取組としては、西淀川道路環境対策検討会を中心として、エコドライブの推進や、道路問題の全面的解決のための「道路提言Part6」の作成を計画しているが、やはり現在の緊急の課題は尼崎公害調停を契機として変わり始めた国公団との道路連絡会を実質的なものにしていくことであろう。第8回連絡会では大型車対策やそのための総合調査といった全国共通の問題もまだ独自の問題である歌島交差点問題での住民合意のあり方についても継続課題となった。この継続課題については、次回の連絡会を待たずして、3ヶ月を目途として意見交換の機会を作ることになっていたが、残念ながらその機会は作られないまま、今度の連絡会を迎えようとしている。次回の連絡会は近々開かせる予定であり、継続課題はその際にぜひとも解決へ前進させたいと思っている。