【圏央道あきる野土地収用事件関係】
2004年4月22日
取消訴訟勝利判決についての声明

 東京地方裁判所民事第3部(藤山雅行裁判長)は、本日、あきる野市牛沼地域の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設に関する国土交通大臣の事業認定(2000年1月19日)、及び東京都収用委員会の収用裁決(2002年9月30日)をいずれも取り消す判決を言い渡した。昨年10月3日、同収用裁決にもとづく代執行を停止する旨の決定を下したことに続き、圏央道建設事業そのものを批判し、住民無視の行政のあり方に歯止めをかけたものである。
 そもそも、圏央道の建設事業は、高度経済成長期に計画され、いわゆるバブル期を通じて具体化されてきた。いまや、その前提とされた各地域の開発や物流などの建設目的はすでに失われている。のみならず、本件土地収用を強行してあきる野インターチェンジを設置しても、道路混雑が改善されないばかりか、逆に混雑が激しくなるなど公共上の利益に結びつくものはほとんどない。
 他方では、圏央道が建設されることによって、大気汚染や騒音問題など道路公害がいっそう激化することが明らかとなってきている。自然環境や文化遺産が破壊され、長年住み慣れた住居を移転しなければならない不利益等とあわせて、圏央道建設及びこれに伴う本件土地収用によって、失われる利益ははかりしれないものである。
 本日の判決は、圏央道建設によって生ずるこれらの問題を端的に指摘し、圏央道が瑕疵ある道路の建設となり、適正かつ合理的な土地利用に該当しないことを明らかにして、本件事業認定が違法であると断じた。そして、この事業認定の違法性は、本件土地収用を命じた東京都収用委員会の収用裁決にも承継されるとして、事業認定とあわせて収用裁決自体をも取り消すことを命じたのである。
 この判決は、無駄な公共事業や道路公害の激化に対する国民の批判を反映したものであり、公害反対や環境保護を求めている全国の住民の運動を大きく励ますものである。私たちは、被告ら及び参加人らに対し、本判決に従い、直ちに土地収用を停止し、圏央道建設計画そのものを抜本的に見直すことを求めるとともに、そのことを実現するために、これら運動を進めている住民の皆さんともに、最後までたたかうものである。

圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会