最大にして最悪の公害である東京電力福島第一原子力発電所の事故から3年が経過しました。国と東京電力は、未だに原発事故を収束することができず、多くの方々が仮設住宅や故郷を遠く離れた地などでつらい避難生活を送り、また自宅に留まった方々も日々放射線の不安を強いられる生活を続けています。これに対し、安倍政権は、多くの国民の反対の声を無視して、原発事故がなかったかのごとく、原発の再稼働や輸出、新たな原発の建設まで強行しようとしています。さらに政府は、震災復興を理由とした大型公共事業を復活させるなど、公害や環境悪化をもたらす政策を推進する一方で、憲法改正手続によらずに9条の解釈によって集団的自衛権を認めさせようと躍起になっています。
 また、福島原発事故以降公害被害者の救済を認めない判決が多く出されていましたが、昨年末に泉南アスベスト2陣高裁判決に勝利し、今年の5月21日には、大飯原発の再稼働を認めない福井地裁判決と厚木基地の自衛隊機の夜間飛行差止を認めた横浜地裁判決が出されました。

 昨年3月、福島地裁、福島地裁いわき支部、東京地裁そして千葉地裁で同時に提訴された原発事故の損害賠償を求める訴訟は、国や東京電力の責任に基づく原発事故被害の正当な賠償を求めて、全国の20にも及ぶ訴訟へと広がっています。また、玄海原発、川内原発など「脱原発」を目指す訴訟も、大飯原発に続く再稼働や新設を許さない闘いが進んでいます。
 アスベストでは、最高裁に係属する2つの泉南アスベスト訴訟と、東京高裁に係属する2つの建設アスベスト訴訟において、ともに国の責任を認めさせる闘いが正念場を迎えています。
 水俣病では、特措法の打ち切りや分社化によって幕引きを狙う国やチッソに対し、新たなノーモア・ミナマタ訴訟が熊本や新潟で提訴され、関西や関東へと広げる準備が進められています。除斥期間を理由とする不当判決を覆すカネミの闘いは、水俣等の多くの公害にも共通の闘いです。

 大気汚染公害では、多くの被害者が救済された公健法や東京都の医療費助成制度を守る運動が重要な局面となっています。PM2.5をはじめとする大気汚染の防止対策を一段と進める必要があります。
 有明海を蘇らせる闘いでは、国が確定判決を守らない前代未聞の状況を打開させ、有効な開門を実現させなければなりません。政府によって急速に進められる環境悪化をもたらす大型公共事業を止める運動とともに、一層闘いを強めなければなりません。

 戦争は、最悪の公害です。厚木基地判決を一層進める基地騒音の闘いとともに、戦争の危険を防止する運動を強める必要があります。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の新たな提言に従って、温暖化対策を進めて地球環境を守り、次の世代に引き継いでいかなければなりません。
 公害被害者総行動は今年で39回目を迎えますが、毎年全国各地の公害被害者団体、市民団体が上京して、環境大臣に直接要請を行うなど、多年にわたる運動を展開してきました。
 私たちは、イタイイタイ病や薬害スモンなどの運動に学び、「なくせ公害!守ろう地球環境!」の合言葉のもと、全国の公害被害者、弁護士、学者、医師、支援者などが連帯して、環境と平和を守るために、国民とともに闘っていくことを決意し、参加者全員のアピールとします。

2014年6月4日
第39回全国公害被害者総行動デー・総決起集会