全国公害被害者総行動は今年で28回目を数えました。
 全国の公害被害者は「いのちを返せ」、「健康を返せ」、「青い空ときれいな水を」、 「静かな夜を」、「緑あふれる環境を」と訴え続け、互いに連帯し、多くの支援者に支えられて、今日まで大きな成果を勝ち取ってきました。

 昨年10月29日の東京大気裁判第1次判決では、5たび国ら道路管理者の公害発生源責任が断罪されました。この判決を機に、国、東京都に対して、自動車メーカーや道路財源からの費用負担を前提にした、公害被害者の救済制度の創設を求める世論は大きく広がっています。そして被告自動車メーカーも、判決で指摘された社会的責任を自覚し、環境軽視、利潤優先の経営姿勢を改めて、ディーゼル排ガス対策、そして被害者救済制度の財源負担に積極的に努力することが求められています。
 東京の公害患者は、去る5月20日に第5次提訴を行い、1次判決の限界を乗り越えて運動を大きく広げようとしています。道路公害の根絶と全ての公害被害者の完全救済という公害被害者の聞いの実現に向けて連帯して闘いましょう。

 去る5月16日、福岡高裁は川辺川利水訴訟で農民勝訴の画期的な逆転判決を言い渡しました。判決は利水事業の計画変更に必要な同意書が大量に偽造された疑いを指摘して、利水目的がダム建設の根拠にならないことを明らかにし、国も上告を断念せざるをえない所まで追い詰められました。これは日本一の清流と基調な流域環境を守り、無駄な公共事業を許さない地元の農民、漁民と、全国の被害者、国民との連帯した闘いが、勝ち取った貴重な成果に他なりません。私たちは未だにダム建設の執念を捨てていない国土交通省、農林水産省に抗議し、これを断念させるまで闘います。
 そしてこの「環境を守れ」、「無駄な公共事業はやめろ」の声をさらに大きく広げ、高尾山、あきる野をはじめ、各地で繰り広げられる道路建設反対の闘いと連帯して運動を広げてゆきましょう。

 今、有事立法の制定、戦争国家体制づくりが急速に進められようとしています。先日のイラク戦争を見るまでもなく、戦争は最大の環境破壊であることは明らかです。そして、直接的には、基地周辺の環境と安全は真先に脅かされます。私たちは基地公害の根絶と戦争政策の廃棄を政府に強く要求します。
 また、大詰めを迎えつつある司法制度の改革問題でも、弁護士報酬敗訴者負担制度の導入が検討されています。これは私たちの求める「市民に身近かな司法」、「誰でも迅速に被害救済を実現できる司法」とは逆行し、これまで命がけで闘い抜いて、権利の実現と公害環境政策の前進を勝ち取ってきた裁判闘争を、公害被害者の手から奪うもので、私たちは断固として反対します。

 私たちは「なくせ公害、守ろう地球環境」を合言葉に、21世紀を環境と平和の時代とするために、更に大きく開いの輪を広げていくことを決意し、参加者全員のアピールとします。

2003年6月4日
第28国全国公害被害者総行動デー・総決起集会