(第34回総会・東京)

 基地騒音公害訴訟は、現在新嘉手納基地訴訟が福岡高裁那覇支部、小松基地訴訟が名古屋高裁金沢支部、普天間基地訴訟が那覇地裁沖縄支部、厚木基地訴訟と新横田基地訴訟が東京高裁にそれぞれ係属している。各基地周辺では、今なお連日にわたって米軍機や自衛隊機による旋回訓練等の飛行が繰り返され、周辺の100万人に及ぶ住民らが睡眠妨害、精神的被害、日常生活妨害、さらに難聴をはじめとする身体的被害など、広範かつ深刻な被害を受け続けている。
 この基地周辺の騒音被害に関し、すでに横田基地訴訟・厚木基地訴訟の最高裁判決をはじめ、数多くの高裁・地裁判決で、米軍機や自衛隊機による飛行活動の違法性を認め、原告ら住民に損害賠償を認容している。
 このような司法の判断に従って、基地周辺の騒音被害を軽減・解消させることこそ、我国の政府に課せられた責務である。しかし、日米両国政府は、基地周辺の騒音被害を軽減するどころか、在日米華を再編して基地機能を強化すると称し、周辺住民や地元自治体の声に耳を傾けることなく、基地被害を増大させる施策を講じようとしている。
 すなわち、横田基地には、それまでの第5空軍司令部に加え、グアム島から第13空軍司令部と航空自衛隊の航空総隊司令部を移し、さらに石原都知事の提唱する軍民共用化を進めようとしている。
 また、普天間基地では、最近のヘリコプター墜落事故に見られるように、住宅密集地に隣接する基地の危険性がすでに限界を越えている。それにもかかわらず、我国政府は、基地移転の約束を果たさず、周辺住民を騒音と危険に曝し続けている。これに対し、米国政府が身体的被害まで生じている嘉手納基地への移転を求め、また防衛施設庁は、自然破壊の辺野古沖への移転計画に固執して海底掘削工事を強行しようとしているとの報道がなされている。沖縄には、普天間基地を移設できる場所はなく、住民らの健康や安全を守るためには、我国の外に移転するしか道がないことは明らかである。
 しかし、去る2月17日の新嘉手納基地訴訟の1審判決では、これまでの騒音被害地域を大幅に縮小する認定を行い、司法までもが日米両国政府の動きに同調する姿勢を見せた。
 我国の政府も裁判所も、国民の生活と健康を守るという本来の使命に立ち返り、騒音被害の軽減と根絶に向けて真摯に努力することを求め、基地周辺住民の騒音被害を増大させる米軍再編に反対することを決議する。

2005年3月21日
第34回全国公害弁護団連絡会議総会