(第37回総会・諫早)

 公式発見から52年目を迎えた水俣病問題は,熊本・鹿児島・新潟各県で2万名以上の未救済患者の存在が明らかになりながらも,最終全面解決に至っていない。
 2004年10月15日に言い渡された水俣病関西訴訟最高裁判決は,水俣病の発生拡大の責任が国及び熊本県にもあることを明確に認め,産業公害における行政の規制権限行使を厳格に義務づけた一方,公健法上の認定審査基準(いわゆる52年判断条件)を満たさない者であっても水俣病被害者であることを明言し,それまでの水俣病認定行政が被害者救済制度として不十分なものであったと厳しく断罪した。
 ところが,この判決にもかかわらず,国は,認定審査基準の見直しはおろか,不知火海周辺住民の健康調査すら拒否し続け,大量の未救済患者の存在が明らかになっても,これを全面的に救済する施策を講じようとせず,07年10月に提示した与党プロジュクトチーム(PT)案では再度,水俣病患者の大量切り捨てを目論んでいる。また熊本県も,このような国の政策を手放しで追随するのみである。さらに,原因企業チッソは訴訟では時効を主張するなど被害者救済よりも企業利益を優先する姿勢である。
 公害弁連は,長年にわたり,この水俣病問題の最終全面解決のために尽力してきた。それは,すべての被害者の救済のための闘いであった。いま,多くの水俣病患者が早期の救済を望んでいる。
 私たちは,この1年をノーモア・ミナマタ訴訟を中心とした裁判での闘争を中心として更なる連帯を広め,国民各位の御理解の上で国民的世論を喚起して司法救済制度を確立し,一人の水俣病患者の切り捨ても許さない解決を目指して前進する1年とすることを誓う。
 以上のとおり,決議する。

2008年3月23日
第37回全国公害弁護団連絡会議総会参加者一同