公害弁連第38回総会議案書
2009.3.29  東京
【2】 各地裁判のたたかいの報告(薬害裁判)
〔1〕 薬害ヤコブ病東京訴訟
薬害ヤコブ病東京弁護団
弁護士 阿部哲二

1  2002年3月25日に9名の患者で和解を成立させ、大津訴訟の11名の患者の和解とともに全面解決の枠組みを確認した薬害ヤコブ病東京訴訟はその後、個別患者の救済を行ってきた。
2  個別救済の方法は、司法救済ルールである。各患者について、国とBブラウン社を被告として訴訟を提起する。請求額は2002年3月25日に被告らと調印した確認書に従い、基本金額に年齢加算をした金額としている。
 訴訟提起後は、直ちに和解協議に入り、Bブラウン社製のヒト乾燥硬膜の移植とヤコブ病の履患が確認されれば、和解成立となる。そして1987年7月以降に硬膜移植が行われた場合には、国の負担割合は、3分の1まで引き上げることとされてきた。
3  2009年1月末までの東京訴訟での提訴患者数は70名(大津訴訟は45名)となっている。
 そして、和解成立は68名、未和解は、あと2名という状況である。68名の和解にまでたどりつくには、被告側からいくつかの抵抗があった。
 一つは、ヤコブ病について、脳波などの所見が認められないものについては、疑い例にすぎないとして、和解に難色を示したことである。もう一つは、87年7月の前後2回にわたって硬膜移植が行われた症例について、国が3分の1負担に難色を示したことである。しかし、いずれも、ねばり強く闘い進め、和解成立を勝ちとってきた。
4  日本で報告された硬膜移植によるヤコブ病患者の9割が訴訟に参加し、救済を 勝ちえたのは、確認書を勝ち取った成果である。
 東京訴訟としては引き続き残った患者の解決に力をつくしたい。
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