公害弁連第38回総会議案書
2009.3.29  東京
【2】 各地裁判のたたかいの報告(産業廃棄物問題)
九州廃棄物問題研究会報告
弁護士 高橋謙一

1  九州廃棄物問題研究会とは、九州各地の廃棄物処理施設と、住民・市民の側に立って戦う団体である。現在主として、①新設産業廃棄物最終処分場阻止、②一般廃棄物処理施設設置・操業阻止、③既設産業廃棄物最終処分場是正、の三つを柱として活動している。
2  まず、①に関しては、ほぼ終焉に向かっていたが、2007年10月に山口県美祢市の安定型産業廃棄物処分場差止仮処分が新たに提訴された。山口地裁下関支部は、2008年4月に、「却下」決定を出した。しかしこの決定は、これまでの判例を全く無視した説得力が皆無のでたらめな判決であった。弁護団はすぐさま即時抗告を申し立て、スピード審理の結果、同年9月末に、逆転(「差止認容」)決定が出ている。現在、本訴が始まっている。
3  ②については、設置・操業の差止に成功した例は残念ながら昨年もなかった。
 しかし、反対運動による操業者に圧力をかけ、私たちが指摘する環境悪化が生じないように必死の操業を行わせたことは成果である。この「操業者にプレッシャーをかけ続けて現在の環境を維持できる適正な操業をさせる戦い」は一定成功している。これは、「運動の成果」である。その意味で、裁判自体の目的は達したと評価でき、そこで、次々と和解をしていった。もちろん「和解」は決して反対運動の終末ではなく、運動の発展の過程における「区切り」でしかない。現在は住民・市民が主体となって、良好な環境保持の戦いを続けている。
4  昨年の最大の問題は、やはり③の既存産業廃棄物処分場是正である。仮処分などを使って操業を差止させた施設も、そのままでは有害物を垂れ流し続ける。従って、操業停止では足りず、危険物の全面撤去(私どもは全て危険物だと思っているので結局は埋立物全部)が不可欠である。これはなかなか困難な闘いであり、福岡県旧筑穂町(合併後の飯塚市)の産業廃棄物処分場に対する撤去の義務付け訴訟の判決は、却下された。しかし住民は落ち込むことなく控訴審を戦い続けている。
5  いずれにしても、現在、廃棄物処理施設との戦いは、新しい局面を迎えていると考えている。ここ数年内に、特に産業廃棄物埋立場の問題は大きく動くのではなかろうか。いや、大きく動かすような運動をしたいし、しなければならない、というべきであろう。皆さんのご協力を期待する。
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