公害弁連第38回総会議案書
2009.3.29  東京
【6】 公害関係資料
〔諫早湾関係〕
−会長談話−

諫早干拓訴訟佐賀地裁判決に関する会長談話

2008年(平成20年)6月27日
日本弁護士連合会 会長 宮崎 誠

 佐賀地方裁判所は、本日、国に対し、諫早湾干拓事業(以下「本件事業」という。)で作られた潮受け堤防の南北排水門の常時開放(以下「開門」という。)について、判決確定から3年以内に開門し、以後、5年間にわたって開門を継続することを命じる判決を出した。
 1997年4月の潮受け堤防閉め切り以降、「有明海異変」と呼ばれる重大な海洋環境の変化のなか、2000年のノリ養殖業の歴史的な大不作を始めとして深刻な漁業被害が生じており、その被害は年を追うごとに深刻になっている。
 本判決は、潮受け堤防による閉め切りと諫早湾内及びその近傍における環境変化との間の因果関係について、相当程度の蓋然性の立証がなされていること に加え、国が中・長期開門調査を実施しないことは立証妨害と同視でき、訴訟上の信義則に反するものと評価して、因果関係を認め、漁業被害の回復のために、 前記のような開門を認めたものである。
 当連合会は、本件事業に関し、1997年5月以降、会長声明及び意見書をそれぞれ2度にわたり発表して、排水門を開放し堤防内に海水を導入すること等を求め、また、本件事業の差止めを求めた仮処分申立て事件についても、2度にわたり会長声明を発表して、本件事業の中止と諫早湾干潟と有明海の真の再生 が一日も早く実現することを強く求めてきたところである。
 本判決は、当連合会が求めてきた開門を命じるものであり、当連合会は、これを高く評価する。
 当連合会は、国が控訴を断念し、本判決に従って、ただちに開門の準備に着手し、有明海再生のための第一歩を踏み出すことを強く求めるものである。
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