(1) 各地ごとの課題
新嘉手納訴訟は、総会直後の3月28日に控訴審第1回弁論期日が開かれる。当面は主張の整理が行われるものの、夏にも原告本人尋問、専門家証人尋問、現場検証など本格的な立証に進む予定であり、1審判決に対する巻き返しが何よりも最重要課題である。
小松訴訟も、健康被害立証が山場を迎え、さらに自衛隊機差止めの訴えの適法性が一審で認められた成果の上に、さらに差止論の主張を厚くし、自衛隊違憲論を広く展開する予定であり、年度内結審をも見据える。
普天間基地訴訟は、対司令官訴訟の上告審において、飛行差止めの手掛かりとなる判決の獲得を目指すとともに、国に対する訴訟において「新嘉手納ショック」を覆す判決を獲得するため、結審に向けた重要な年度となる。
新横田訴訟は、将来請求認容部分について国が上告受理申立てを行い、住民側からは差止請求棄却部分について上告及び上告受理申立てを行っている。まずは、上告理由書等の作成は当面の課題となるも、今なお続く米軍機騒音被害について、新々訴訟をも視野に入れ、江見判決を最大限活用した運動を展開し、恒久的な被害救済の方途を作り出すことが最大の課題である。
(2) 基地騒音裁判に共通する課題
米軍再編(トランスフォーメーション)の進捗は、最優先課題とされた普天間基地の移設問題が、沖縄の基地負担・騒音被害の固定化をもたらし、厚木基地から岩国基地へのNLPの移転により、新たな騒音被害の発生が懸念され、横田基地への自衛隊航空総隊移転(軍軍共用)によって騒音被害が一層増大するなど、被害地図が塗り替えられることを意味している。
防衛施設庁も、基地周辺の騒音コンターの全国的な見直しを進めており、お為ごかし的な周辺対策で、在日米軍再編、自衛隊再編への地均しを進めているものと見てよい。
このような情勢にあっては、基地騒音裁判においてもこれまでのたたかいを見直し、新たなたたかいを再構築することを検討すべき段階にあると思われる。
そのためには、空港弁護団の活動を活発化させ、全国的な団結をもって継続的に運動を展開していくことが必須である。