公害弁連第36回総会議案書
2007.3.21  東京
【6】 公害関係資料
【ノーモア・ミナマタ国賠訴訟関係】

07年1月28日
国民の皆様へ
水俣病不知火患者会
ノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告団
ノーモア・ミナマタ国賠訴訟弁護団

声明

 昨年12月7日、与党水俣病問題プロジェクトチームは、第二の政治決着にむけて未認定患者らの症状調査を決め、これを受けた環境省は、今年4月から10月にかけて調査を実施する方針を発表しました。

 報道によれば実施調査の内容は、熊本・鹿児島・新潟の認定申請者と保健手帳交付者全員を対象に月1回のアンケート調査と、そのうち5%程度のサンプル調査を行い、救済制度の医学的判断条件づくりをおこなうとしています。時同じくして、これまで機能停止していた熊本県認定審査会も従来の厳しい認定基準を踏襲したまま再開する方針を示し、政治解決に連動した動きを強めてきています。

 しかし、今回の調査は、私達が求めてきた不知火海沿岸全住民を対象とした健康調査にはほど遠く、水俣病の被害の実態を明らかにするものではありません。これまでの報道によれば、与党水俣病問題プロジェクトチームの検討している案は、「95年の政治決着を超えることはない。受付に期限を設ける」というものであり、「はじめに安上がりの解決ありき」というべきものといえます。

 このような第二の政治決着にむけた未認定患者らのアンケート調査は、安上がりの解決に白紙委任状を与えるようなものです。水俣病患者救済については、平成16年の水俣病関西訴訟最高裁判決を踏まえたものでなければならないはずであり、これを無視するようなあいまいな決着に向けての調査であるならば到底受け入れることはできません。

 私たちは、不知火海沿岸全住民の健康調査が実施されるべきだと考えます。そして、最高裁判決を踏まえ、全ての水俣病被害者の救済が図られるべきであると考えます。最高裁判決を無視し、安上がりの政治決着を患者に押しつけることになれば、昭和34年の見舞金契約と同様の批判を受けることになると考えます。

 私たちは、水俣病患者の権利を正当に認めてきた司法の場こそ、全面解決を図るにふさわしい場であり、あくまでも司法基準に基づく司法救済制度による正当な解決を求めて、断固闘っていくことを国民の皆様に訴えます。