公害弁連第36回総会議案書
2007.3.21  東京
【6】 公害関係資料
【諫早湾関係】

−声明−

干拓農地リース問題に関する住民監査請求の結果について

2006年8月1日
弁護団

 国営諫早湾干拓事業によって造成される干拓農地を財団法人長崎県農業振興公社が一括配分を受け,これを農業者にリースすることができるようにするための長崎県の公金支出に対し,本年6月5日に長崎県民76名がその差し止め及び返還を求めて住民監査請求を行っていたところ,本日,長崎県監査委員から監査結果が送付されてきた。

 監査結果は,「一括配分受入資金」について,「県の公金支出の可能性,危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとは認められない」として却下,「公社の体制整備にかかる資金」について,「最小の経費で最大の効果」の原則に違反しないし,また,土地改良法の脱法行為でもないとして棄却というものである。

 しかしながら,送付されてきた監査結果は,監査委員の判断にわたる部分はわずか2頁しかなく,請求人らが請求書や2通の補充書,21人の意見陳述を通じて提起した多くの論点についての判断は回避されており,かろうじて判断を示している部分も県当局の主張を鵜呑みにするだけで,踏み込んだ検討を全くしていないという,極めてずさんなものである。長崎県監査委員が地方自治法によって定められた職務を誠実に行うことなく,住民監査請求の存在意義を否定するような判断を示したことに強い憤りを禁じ得ない。

 本件は,厳しい県財政のなか,長崎県民のくらしに重大な影響を及ぼす問題である。長崎県民は今回のずさんな監査結果を決して許さないであろう。

 わたしたちは,ただちに住民訴訟を提起して,最後まで徹底してたたかう決意である。