公害弁連第37回総会議案書
2008.3.23  諫早
【2】 各地裁判のたたかいの報告(大気汚染)
〔2〕 西淀川大気汚染公害訴訟
西淀川公害訴訟弁護団
弁護士 村松昭夫

1  今なお続く自動車排ガス汚染
 西淀川公害訴訟は、1998年7月に20年に及ぶ裁判闘争を終了したが、その後は、「道路連絡会」の活動とともに財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)を設立して、引き続いて公害根絶の活動に取り組んでいる。
 大阪の大気汚染は、NOx/PM法による単体規制の強化と交通量の伸び悩みによって、ここ数年はNO2もSPMも改善傾向を示し、西淀川区においても2005年度は自動車排ガス局である出来島小測定局で、初めてNO2の環境基準の上限値をクリアしたが、2006年度は再びオーバーした。このことは、今なお安心して生活できるレベルまで改善されたわけでないことを示しているものである。PM2.5に関しては、和解条項の履行として区内2カ所で国交省による常時測定が行われているが、その測定値はアメリカやWHOの環境基準値等を大幅に上回っており、引き続き、公害根絶に向けた闘いが求められている現状である。

2  第11回道路連絡会について
 第11回道路連絡会は、2006年6月27日午後1時30分〜午後3時30分の日程で、区内の「エルモ西淀川」で公開で行われた。
 今回の連絡会は、原告側と国側が共通認識を持って連絡会での議論を進める必要があることから、当日の午前中に、原告団と国側が一緒に、歌島橋交差点周辺、国道43号線周辺など環境対策面で課題となっている箇所の視察を行った。
 午後からの「道路連絡会」では、はじめに公害被害者2名が公害被害の苦しみとともに道路公害の現状についての訴えを行い、その後協議を行った。
 まず、西淀川の大気汚染の現状に対する認識については、国側も、PM2.5について深刻な状況であるという認識を表明するものの、環境基準設定がされていないとして、それをどう改善していくのかという点では消極的な対応に終始した。対策面でいえば、光触媒や新技術の実験などに関してはできるところから取り組むという姿勢は示したが、肝心の大型車対策については、尼崎のロードプライシングなどを参考に、さらに社会実験をやる方向で検討中という回答であった。また、原告側は、国道43号線によって中島地区が陸の孤島になっている状況の解消やバリヤフリー化に関して要請したが、バリアフリー法との連携、検討を約束したに止まった。歌島橋交差点の横断歩道の撤去問題に関しては、交差点周辺の緑の確保に関しては住民意見を聞いて対応する旨を回答した。なお、国側は、懸案の国道2号線の歌島橋交差点の改良に関連する緑化問題については、歌島橋交差点にかつてあった樹木は移植されており(フェニックスは鶴見緑地、クスノキは清滝地区)、これを再び戻すことを前提に配置計画を進めていることが報告され、今後は住民意見を聞きながら対応する旨が表明された。

3  今後の課題
 道路連絡会は、11回目を迎えたが、引き続き国側は交通量とりわけ大型車の交通量を削減するには消極的であり、そのことが区内の大気環境を大きく改善する上で最大のネックとなっている点は従来と同様である。まさに、国の国民の命や健康を守る基本姿勢が問われていると言わねばならない。尼崎におけるアンケート調査や社会実験の結果、さらに今後の対策の推移とも関連させながら、西淀川区内の大型車対策を強力に迫っていくことが必要であり、引き続き粘り強い取り組みを行っていきたい。
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