公害弁連第37回総会議案書
2008.3.23  諫早
【6】 公害関係資料
【東京大気汚染関係】

声明

−東京大気汚染公害裁判和解成立にあたって−

2007年8月8日
東京大気汚染公害裁判原告団
東京大気汚染公害裁判弁穫団
東京大気汚染公害裁判勝利実行委員会

1. 本日,東京高等裁判所第8民事部,東京地方裁判所民事第6部において,東京大気汚染公害裁判の和解が成立しました。
 本和解は,被告自動車メーカーの解決金支払いに加えて,被告国,首都高速道路会社,自動車メーカー,東京都の負担による東京都の医療費助成制度の創設と,公害対策の実施をかちとった点で,大変大きな意義を有するものです。
 これは1996年5月の提訴以来一貫して,『現在進行形の公害とのたたかい』をアピールし,ディーゼル汚染の根絶と被害者救済制度の確立を求め続けてきた原告らの願いを,「勝利をめざす実行委員会」に結集した個人,団体が支え,励まして,広範な世論に訴えてきたことが大きく実を結んだ成果であり,都民,国民の皆さんに深く感謝するしだいです。

2. 今後私たちは,本和解でかちとった医療費助成制度の周知をはかり,幅広い被害の救済をはかっていくとともに,和解条項にある「5年後の制度見直し」を念頭に,より多くの被害者の結集をはかっていきます。そして,一方で国に対して公健法並みの被害者救済制度の創設を求めるとともに,東京都に対しても医療費助成制度の充実・強化を求めて奮闘していく決意です。

3. あわせて,本和解では,速やかな環境基準の達成のため,本件地域の交通負荷の軽減,道路交通に起因する大気汚染の軽減をはかるための公害対策をかちとりましたが,とりわけ,PM2.5環境基準を設定させ,大型車の走行規制をはじめとした実効性ある対策の実施をめざして,全力をつくしていく所存です。

4. ところで,私たちは被告メーカー7社に対し,この間一貫して,和解成立にあたって,過去の行為に対する反省と今後に対する決意表明を求めてきましたが,結局,メーカー側はこれを拒んで一切応じようとしませんでした。
 しかし一方で,メーカー側は,本和解において,裁判所の勧告にしたがって,医療費救済制度財源33億円と解決金12億円の負担を決断しましたが,これはメーカーらの過去の行為に対する責任を抜きには説明がつかない額と内容となっています。
 にもかかわらず頑なに見解表明を拒否し続けたメーカー側の対応は,トップ自ら見解表明を行った安倍首相,石原東京都知事と対比しても全くもって不当という他なく,私たちとしては,このことを胸に刻んで,今後とも自動車メーカーの責任を追及していくことをここに表明するものです。

5. 和解成立の今日の日は,11年余にわたる長い裁判闘争の終結の日であるとともに,「誰もが安心して吸える空気」をとり戻すたたかいの新たなスタートラインでもあります。

東京にほんとうの青空を

 この思いを共通にするより多くの皆さんと手を結びあって,今後とも頑張っていく決意を表明して声明と致します。
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