公害弁連第37回総会議案書
2008.3.23  諫早
【3】 特別報告
道路公害反対運動報告
道路公害反対運動全国連絡会
事務局長 橋本良仁

1  政策理念と実際の行政運営に乖離
 公共事業のあり方に対する国民の厳しい批判に対して、国土交通省は1997年以降、「道路整備を行わないことも選択肢に…」、PI(住民参加の公共事業のあり方)やアカウンタビリティ(住民参加手続きの明確化や説明責任と合意形成への行政運営)などの政策転換を打ち出してきた。
 しかし、実際の道路行政の進め方は、これまで通りの「道路を造り続ける体制のまま」であり、政策理念を実際の行政運営に反映しようとはしていない。道路全国連運動の重要な課題は、頑迷な行政に対して政策理念の実現をやらせることにある。

2  全国的に広がる裁判闘争
 道路建設予定地の関係住民の声を無視して道路を造り続ける行政の強硬な姿勢は変わらない。むしろ狡猾とさえいえる状況が報告されている。このような行政の暴走に対して、全国各地の道路関係住民運動団体は粘り強く闘い続けている。
 圏央道あきる野の土地収用裁判は最高裁上告棄却になったが、同じく圏央道の高尾山天狗裁判のうち、工事差止請求の民事訴訟は工事による環境破壊を認めたが、国土交通省の主張を鵜呑みにし公益性を最大限認めて差し止め請求を退けた(07年5月東京地裁八王子支部)。ただちに控訴し、東京高裁で審理が開始された。事業認定と収用裁決取消請求の行政訴訟は昨年9月に東京高裁で結審し、今春判決の予定である。西東京3・2・6号線、下北沢54号線、広島国道2号線に続き、国分寺3・2・8号線も事業認可取消を求めて東京地裁に提訴した。

3  基礎自治体の首長選挙
 08年1月27日投票で、東京都八王子市(人口55万人)の市長選挙が行われ、道路全国連事務局長の橋本良仁が立候補した。わずか1ヶ月足らずの選挙戦であったが、三選を目指した現職と互角に戦い、43%の支持を得た。
 市民に訴えた町づくりの基本政策は、「環境・くらし・経済の調和」であったが、広範な市民の共感を得ることができたのである。国や都道府県の道路政策を民主的に転換させ、実行させるために努力することは当然であるが、基礎自治体の市町村首長選挙に対して、さらに意識的に取り組む必要がある。

4  地球温暖化対策に逆行する国交省
 昨年8月の東京大気汚染公害裁判の勝利和解は、困難な道路全国連の住民運動団体に大きな励ましを与えた。国や東京都が最後まで固執した首都圏3環状道路整備条項に対して、原告団・弁護団は最後まで3環状道路整備を和解条項に入れさせないという姿勢を貫いた。結果、3環状道路整備を排除したことに対して道路全国連は高く評価している。このことにより、道路住民運動団体と東京大気汚染公害被害者との連帯が深まったことはいうまでもない。
 地球温暖化問題が重要な課題となっている昨今、国土交通省が温室効果ガス削減対策と称して進める大型道路整備は誤っており、まさに世界の流れに逆行する。大型道路建設の促進は車を誘発し温室効果ガスの原因となる自動車排気ガスを増加させることは明らかである。

5  公害被害者総行動実行委員会との連帯
 道路全国連は、公害被害者を先頭に総行動実行委員会に結集し、今後とも連帯の運動を進める。とりわけムダで有害な公共事業と闘う、東京高尾山の圏央道建設を止めさせ高尾山の自然を守る運動、九州の川辺川ダム建設に反対し清流を守る運動、宝の海有明海を取り戻す「よみがえれ!有明海」の運動との共同連帯が重要である。引き続き「やま・かわ・うみ・そら」を結ぶ運動を強化する。
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