公害弁連第37回総会議案書
2008.3.23  諫早
【6】 公害関係資料
〔道路建設差止関係〕
【高尾山天狗裁判】

声明

2007年6月15日
高尾山天狗裁判原告団  団長 吉山 寛
高尾山天狗裁判弁護団  団長 鈴木尭博

 東京地方裁判所八王子支部民事2部(押切瞳裁判長)は本日、圏央道八王子地域の工事差止請求裁判において、原告らの請求を棄却する判決を言渡しました。
 私たちは圏央道事業が明らかとなった1984年以降23年にわたり、地域住民とともに圏央道が高尾山や八王子城跡の豊かな自然環境を破壊する計画であることを明らかにして反対運動を続けてきました。
 そして裁判所においても圏央道工事による八王子城跡のオオタカの営巣放棄や地下水脈の破壊の事実を指摘し、裏高尾地域での騒音被害や大気汚染の被害発生を科学的に立証し、高尾山にトンネルを掘る工事は八王子城跡で起きている被害と同様の水脈破壊により世界遺産に匹敵する豊かな生態系が破壊される危険性を明らかにしてきました。
 また、圏央道は都心の渋滞解消や多摩地域の交通渋滞の解消と経済の発展に必要であるとの国土交通省の主張をことごとく論破してその主張が虚偽であることを完璧に明らかにしました。
 ところが裁判所は、オオタカの営巣放棄、御主殿の滝涸れなどの水脈破壊、景観破壊の事実を認めながら、これら被害の重大性を無視し、一方では国の主張する圏央道の公益性公共性をまるごと鵜呑みにして、多数の原告らの差し止め請求を棄却しました。判決は景観や自然生態系の被害につきゆゆしき事態であることを認めながら、環境権・景観権に基づく差し止め請求を認めず、司法救済の道を閉ざした不当な判決といわざるを得ません。 国土交通省および道路公団は強制収用により無理やり反対する市民の土地を取り上げて工事を強行してきています。
 既に裏高尾地域は中央自動車道と圏央道とのジャンクション工事が進み、豊かな自然が破壊され無残な高架道路が作られています。
 また現在は、高尾山トンネル工事を強行するため、土地収用手続きを進めながら、南浅川地域からトンネルの掘削工事も強行しています。
 私たちは20年以上に及ぶ圏央道反対運動と7年に及ぶ工事差止め請求訴訟を通じて、圏央道により国定公園の高尾山にトンネルを掘りジャンクションを建設することは、豊かな自然環境を破壊するものであることを強く訴えてきました。圏央道が如何に無駄な公共事業であり豊かな自然環境を破壊するものであるかという認識は国民の間に広く広まっています。
 私たちは、今回の不当な判決にもかかわらず、今後も世界遺産に匹敵し都民のオアシスになっている高尾山を護るために今後も一層がんばることを決意します。
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