公害弁連第37回総会議案書
2008.3.23  諫早
【6】 公害関係資料
〔道路建設差止関係〕
【圏央道あきる野土地収用事件】

2007年4月17日
圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会

最高裁の不当決定に断固抗議する声明

 最高裁(第2小法廷)は、本年4月13日、土地収用を受けた住民らの上告を棄却し、かつ上告審として受理しないことを決定した。
 しかし、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設のために、長年居住してきた住民らの土地を取り上げる土地収用手続きが、土地収用法上も適性かつ合理的な土地利用に該当しない違法なものであり、事業認定も収用裁決も取り消されるべきものであることは、東京地方裁判所判決(2004年4月22日)が明らかにしたとおりである。本件上告及び上告受理の申立は、土地収用手続きを違法としたこの東京地裁判決を覆した東京高裁判決の誤りをただすよう求めたものである。
 そもそも、本件での土地収用手続きの適否は、土地収用法の解釈やそれをめぐる判例の適用についての判断が求められる。それだけでなく、強制的な土地収用手続きは、憲法29条で保障する財産権や憲法22条の居住の自由をいずれも侵害することになるものであり、公共事業のためにそれが許容されるかどうかという土地収用の適否は、必然的に憲法上保障された権利をめぐる議論に及ぶものである。
 少なくとも、このような本件の争点に対して、充分な検討を加え、実質的に判断するのが人権保障の最後の砦である最高裁判所の役割に他ならない。
 ところが、今回の最高裁の決定は、一片の書類により、しかも何らの理由も示さないまま、実質的な審理の対象にすらしないことを明らかにした。これは、最高裁の役割、ひいては司法の任務を放棄し、行政の施策に追随する姿勢を示したものといわざるを得ない。のみならず、この最高裁決定は、必要のない道路づくりを安易に認めて無駄な公共事業を放置し、他方で大気汚染や騒音問題など激化する道路公害とそのために生ずる悲惨な健康被害を容認することになる。
 私たちは、このような最高裁決定を断じて許すことはできない。圏央道建設計画そのものを抜本的に見直すことを求めるとともに、無駄な公共事業、環境破壊と道路公害に反対して、最後までたたかうものである。
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